BODY × BIZ

ジムで背後の気配に気付ける人が、会議で発言者を先に指名できる理由

ジムで黙々とトレーニングをしていても、自分の後ろを人が通ろうとした瞬間、視線を向けずに軽く一歩ずれる人がいます。逆に、何度声をかけられても気付かない人もいる。この差は運動神経ではなく「視界の外に対する感度」の差だと、指導現場では観察されてきました。そして興味深いことに、この感度が高い人ほど、会議室でも静かに主導権を握っていることが多いのです。

広告

背中の気配に気付く人が持っている「周辺注意」という技術

ジムのフロアは、鏡・重量物・他人の動線が交錯する空間です。集中して自分のフォームを追いながらも、背後のダンベルラックへ人が近づく気配、隣のマシンで力尽きそうな人の呼吸の乱れ、そうした情報を無意識に拾える人がいます。

これは視力の問題ではなく、注意資源の配分の問題だと考えられます。中心視野に100%を張り付かせず、常に20〜30%を周辺情報のスキャンに割いている。トレーニング歴が長い人ほど、この配分が自動化されている傾向が観察されます。

広告

会議室で「次に話したい人」を先に指名できる人の共通点

優れたファシリテーターを観察すると、発言者が話し終える前に、次の発言者を的確に指名しているケースが少なくありません。「山田さん、今の件でご意見ありそうですね」といった具合です。

これは超能力ではなく、周辺視野で拾った情報の統合結果です。わずかに前傾した姿勢、口を開きかけて閉じた動作、資料をめくり直す指先。中心視野で発言者の話を追いながら、周辺で他の参加者の兆候を並列処理している。ジムで背後の人に気付ける感度と、構造は同じだと私は考えています。

発言量と意思決定スピードを底上げする静かなメカニズム

この感度が高いリーダーがいる会議では、発言量が均されやすくなります。声の大きい人だけが話す構造が崩れ、「話したいのに切り出せない人」が拾われるためです。結果として意思決定に必要な情報が短時間で集まり、決断が早まる。

逆に、周辺情報を拾えないリーダーの会議では、同じ人が繰り返し発言し、静かな専門家の知見が埋もれる傾向があります。発言量の偏りは、能力の偏りではなく、感知の偏りに起因することが多いのです。

そして、この感度は生まれつきの才能ではなく、身体を通じて訓練可能な技術だという点が、私にとって最も興味深い論点です。

広告

あなたが最後に参加した会議で、発言しなかった人は何人いたでしょうか。そして、その人たちが何を考えていたか、あなたは気付いていたでしょうか。身体感度と会議運営の接続については、note で詳しく掘り下げています。ご興味があれば覗いてみてください。

メンバー限定の深掘り記事を読む →
月¥500 / フィジカル × 事業の実践記録、メンバーシップ限定で公開中